ここ三日間程悪天候が続き、島を離れるこの日も朝からみぞれ交じりの雨が降り、山は雪で真っ白だった。
今回は瀬切のプロジェクト完成を目標に約3週間滞在した。
天候にも恵まれ、最後の週こそ崩れたが雨で登れなかった日は一日も無かった。
とにかく今回も島独特の不思議な天候に助けられた。
滞在していた宮之浦周辺はざんざんに降っていても島の南側にある瀬切に向かうにつれ回復し、エリアに着く頃には快晴になっているという事が何回もあった。
雨の多い屋久島というイメージは瀬切では無くなってしまった。
安定した天候とコンディションの中、目標としていた瀬切のプロジェクト二本にも成功する事が出来た。
一本はスーパープロジェクトと呼んでいた蛙岩のライン。
もう一本はハイビスカス岩のルーフカンテのライン。
スーパープロジェクトの方は前回のツアーで四日間程トライし、今回のツアーで四日目のトライで完成し「アロバヨ」V15 五段+となった。
下部の細かいホールドの処理や上部の精神力を要求される高いフェース、見た目の美しさ等、非常に印象的な課題となった。
九州最難の一本だろう。
自分のクライミングキャリアにおいて考えてみても重要な登りになったと思う。
ハイビスカス岩のプロジェクトは瀬切の山エリアを訪れたクライマーならだれもが最初に登りたいと考えるラインだろう。
事実、僕もここを最初に来た時に見上げ、憧れたラインだった。
しかしあまりに高くランディングも悪くハードそうに見え、そうそう気軽に取り付ける感じでは無かった。
今回はスープロが登れたら絶対にトライしようと決めていた。
着いた初日に下地を整備し、トライ出来るよう準備は万全にしておいた。
そしてプロジェクトが完成したその日からトライを始め、二日間で完成させた。
このラインも本当に素晴らしく、僕の作品の中でも最高の一本となった。
課題名はこの時期、滞在先の庭先を綺麗に飾った山茶花の花から「サザンカ」と命名した。
その他にも易しいものから難しいものまで沢山の課題が追加された。
ほぼ毎日瀬切へ通い、登りが休みの日には整備に入りそれ以外は岩に取り付く日々だった。
滞在先の宮之浦から瀬切への一時間のドライブも素晴らしい景色の中いい音楽を聴き、一日の楽しみの一つだった。
今回の屋久島ツアーも良い時間を過ごすことが出来、成果的にも大成功のツアーとなった。
前回同様YFAの方々には大変お世話になりました。
特に会長の笠井さんには何から何までお世話になりっぱなしでした。
感謝しています。
今回、時間があったらやりたいと考えていたルート開拓は残念ながら時間切れとなってしまいました。
その他にも新しく発見したボルダーのエリアなど、まだまだ屋久島のクライミングシーンは盛り上がっていきそうです。
また来なきゃ!