小山田大のクライミング日記
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不可能が可能になった日
昨日、トライを重ねていた鳳来の通称「不可能プロジェクト」を登る事ができた。

このプロジェクトは乳岩へのアプローチ脇にある顕著な前傾壁で、もう何年も前から目は付けていたものの、あまりにシャープで高さもある威圧的な壁を前に「登れたら凄いな」くらいにしか考えていなかった。

その後、いくつかのハードな課題を周辺で登りまくり、いよいよプロジェクトが無くなってきた頃、あの壁をトライしてみる気になっていた。

一昨年の12月からトライを開始。最初は下部にある大きなエッジからスタートする予定だったが一番下にアンダーを発見、そのホールドからシットスタートする事にした。

意外にもムーブは割とすぐにできた。しかしそこからが長かった。
ムーブの悪さに加え、鳳来特有の岩質の脆さにも苦しめられた。
スタンスはもちろん手もトライ中にいくつか欠けた。
その度に練習して覚えたムーブを変更しなければならなかった。

ホールドも安定して完登を念頭においたトライを始められたのが去年の2月。
とにかく、毎日寒かった。時には雪の降る中トライを続けた。
日の短いこの季節は体の調子が上がってくる頃に日が暮れてしまうので、毎日ランタンの灯りを頼りにトライを続けた。

去年の最後の方は最後のランジまでかなりの割合で持ち込めるようになっていたが、最後に出て来る確率を要するランジが止められず、シーズンオフとなってしまった。


昨日はお昼前に岩場に着いた。いつもの岩でアップ。何となく調子がいい気がした。
移動して最近見つけた新しい岩へ。ロケーションの良い場所で気持ちがいい。ここにも一本プロジェクトがあって、攻めれば登れそうな感じだったけど疲れるとマズいから止めておいた。

本題の「不可能プロジェクト」へ。
今年に入って三日目。これのトライに向けてここ最近鳳来で沢山の課題を登った。岩場の雰囲気と岩質に慣れるのは重要な事だから。

岩に着いて見上げる、相変わらず威圧的な壁だ。
ホールドのクリーニングから始める。
少し湿度がいつもより高い感じがする。そのせいかチョークの乗りがいい。
個々のムーブの確認をすませ、レスト。
アミノ酸とブドウ糖を摂って少し仮眠。

起きると頭がすっきりしている。軽くストレッチしてホールドのクリーニングとチェックの後、最初のトライ。

スタートする時はいつも水の中に深く潜っていくような気持ちになる。

最初のランジの後右足を置く時僅かにブレたのを覚えている。

その後の6手は完璧。最後の核心のランジに入る前、いつもより壁から体が離れていた気がする。
ランジして左手が止まった時、「なんで止まってるんだ」って思った。

三本指で止まっていたので、左足を上げてから右手を取るムーブが悪く感じた。上は簡単だと思っていたのに難しく感じた。
リップのガバを取った。本当はリップから上は木の根と分厚い土に覆われているのでトップアウトはしないつもりだったのだけど、岩の上になんとしても立ちたかった。
最後はリップの上にある木にしがみついて「登れたー」って叫んでいた。


この課題は僕には難しかった。今までのどの課題よりも時間をかけたし、トライもした。
この課題をトライしていた時に思っていたのは、課題とは自分にとって難しいのかそうでないのかそれが一番重要だという事だった。

課題名は「エピタフ」  

いい課題です。
| - | 16:13 | comments(0) | このページのトップへ
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